日々、フジマキコクバン。

大阪在住。フリーの編集者兼ライター・フジマキユウコが書いています。

食べることに、本気。

かつて私はうどん屋の3番目の娘でした。

 

父と母が夫婦でうどん屋を切り盛りしていて、

手を伸ばすと美味しいモノに当たる…そんな生活です。

冷蔵庫を開ければ出汁がある、

肉や野菜がある、父が作った出汁巻きがある。

 

お腹が空いた…じゃあ何か作りなさいよ。

家族の分も作ってね。

冷ごはんと卵があるからオムライスにしてよ。

 

なんて…ごはんを作って食べるのはもちろん基本で当たり前。

さらに鍵っ子だった私は、

学校から帰ったら晩ご飯の前にまず自分で作って軽食を食べたりして、

食べることに対して常に本気です。

 

父は料理人だけど、家で料理なんてほとんどしませんでした。

だけど、たまに市場に魚を買いに行き、お寿司を握ってくれました。

お店が休みだった土曜日。

家族揃ってごはんが食べられる週一回だけの幸せな晩ご飯。

 

こんなに食べれないよ!って言うほど、お寿司を握ってくれた。

私たちの為だけに。

 

あと、父は石川県能都の出身で、母は佐賀の離島出身なので、

食材にも困らなかった。

質の良い米や野菜、魚や加工品が送られてくるものだから、

我が家の食卓は常に“本気”だった。ありがたいことです。

 

しかし私は、高校生になるとお小遣いを外食などに使うようになります。

 

ジャンキーな食事、高いだけで美味しくないカフェごはん、

スイーツやコンビニのパン、ジュース…などなど。

 

一種の憧れなのだと思います。

父と母の料理しか食べずに育つと、マクドや回転寿司が食べたいのです。

コンビニでパンを買う…オシャレに思えるのです。

 

モノを知らないから、考え方が浅はかだったなァ。

今思えば…。とっても恵まれた環境にいたんですねェ。

 

そこから、大学に入り、社会人になり…

家でごはんを食べることがほとんど無くなりました。

外食ばかりしていた。どんどん太る、お金がかかる、肌が荒れる。

何かにとり憑かれたみたいに外食してました。

 

よくそんなお金あったなァ…笑。私、バカだ!

 

そんな私が、食に対して真面目に考えるきっかけになったのは、

父親の病気です。

 

大学を出て、私はテレビの制作会社に入り番組ADをしました。

しかし、仕事にも慣れた1年後に退職。

ずっと夢みてた雑誌の編集者になるべく飛び出しました。

東京に行く!まだ若いし、今のうちだと思うから。

 

家族は応援してくれました。が、仕事を辞めて10日後、

父に癌が見つかりました。しかも、癌の王様・すい臓癌でした。

すい臓癌は、見つかった時にはすでに手遅れ…と言われていて、

病院の先生にも「3ヶ月もたないかもしれません」と告げられました。

 

闘病生活は、考えられないくらい大変なもので…。

癌の痛みと腹水が溜まって横になれなくなった父は、

死ぬまで不眠に悩まされました。

 

抗がん剤治療と入退院を繰り返す中、

なんとか先生に告げられた3ヶ月は過ぎました。

だけど、当時、

どれだけ調べても、すい臓癌で1年生きられた人が皆無に等しかった。

 

父の死を覚悟しながら過ごす毎日は、地獄でした。

病院の先生もお手上げ状態だった父を救いたい。

1日でも長く生きて欲しい。

薬も効かない、手術も出来ない…。

 

私は、神社やお寺などのパワースポットを巡りました。

良いとされるお水をもらいに行きました。

だってそうでしょ?

医師に頼めないなら、神や仏に頼むしかないじゃないか。

 

そして、これを食べたら●●に効くとか、●●を予防するとか、

自然治癒の本やマクロビ本を読み漁るようになりました。

食を変えようじゃないかと。

 

だけど、残り僅かな余生を過ごす父に、

押しつけるように健康食を食べさせることに疑問を持ちました。

 

そら、長生きして欲しいに決まっているんだけど、

目の前で苦しんでいる、弱り切っている父親に、

長生きして欲しいと願うことは、自分のエゴなんじゃないかと。

 

そしたら、急に苦しくなってしまって、

まぁ家族に諭されたというのもあるのですが、

「もうこれからは、好きなモノ食べてもらおうよ」

という結論に達しました。

 

父の闘病中、寝ずに看病していた母も体調を崩した時、

私たちは、自分たちの生活が崩壊していたことを知ります。

 

食生活が、おざなりでした。

ごはんを作る気力がないから、

外食や宅配、スーパーの惣菜ばかり食べていました。

 

ちゃんと、生活しなきゃいけない。

ごはんを作って、よく噛んで食べなきゃいけない。

 

忙しくなると忘れがちになってしまうんだけど、

体調を崩してからでは遅いのです。

 

近頃は、ごはんを家で作って食べるのが楽しいです。

母は、糖尿と高血圧を患っています。

今日は粗食にして、明日お肉を食べよう!

田舎から野菜が送られてきたから何か作ろう!

おからをいただいたから、ミンチと混ぜてハンバーグにしよう!

 

ヘルシーを意識してはないけれど、

家でごはんを食べると少ない量でも満たされる気がします。

作って誰かに食べてもらう、

母が作ってくれるごはんをありがたくいただく。

 

やっぱり、食べることは大切。

自分が年を取って分かったことです。

 最近は『ひとりごはんの薬膳レシピ』を読んでいます。

 

難しくないんです。体に良くて美味しいごはん。

簡単です。出汁を取るのも、調味料を作るのも。

 

毎日じゃなくても、ごはんを作って食べる。

めんどうだけど大切なことだと思います。